※きれいなベクター注意
137話が実は演技だったら?と思って勢いで書いた妄想小説。なので本編といろいろ矛盾してるかも→矛盾しまくってました
137話見ていないとまるで意味が分からんぞ!なので注意
初めて小説書いたので読みにくかったらすみません。
実は初めは漫画で書きたかったけど画力がないので断念…。誰か変わりに書いてくれないかな
誤字修正しました
両親を殺したという記憶を思い出したとき俺が覚えたのは後悔や絶望ではなく今も昔も変わらない自分自身に対する安堵だった。
この記憶が自分がどうしようもないゲスだという一種の証拠として極稀によぎる良心を押さえつけていた。
そして自分の気の向くまま相手の心を踏みにじり嘲笑い、そのことを楽しんだ。
バリアンになってからだけじゃない。
人間だった時もドンサウザンドに記憶を変えられて狂気の王となり、多くの国を滅ぼし、敵国の民も自国民も死に追いやった。
ナッシュに負けた後、腹いせに自分以外の人間を殺してしまった。
なのに、
…これが俺の人間だった頃の記憶?
平和の象徴であり民から慕われていた自分。
俺が殺したのではなく俺を殺そうとした父から俺を守り死んだ母、そしてそのまま病に倒れ死んだ父。
そしてその記憶を両親を殺した狂気の王として生きることに利用された。
「それじゃあ、嘘だったのか?」
両親を殺したというこの前世の記憶は
「俺を騙していたのか、ドンサウザンド!」
ドンサウザンドが俺を見下しながら静かに笑った。
これは騙されていた人間への嘲りを含んだ肯定だ。
騙されていたことへのショックと怒りとそして今までやってきた行動に対する後悔とが混ざり合って訳が分からなくなる。俺はただ叫びながらその場に伏すことしかできなかった。
お人よしの遊馬がドンサウザンドに何か言っているのが聞こえてきた。要約するとドンサウザンドの所為で俺の心が壊れた、俺はあの演技をしていた頃の真月のような人間だといいたいらしい。
また、ドンサウザンドによると純粋だった俺は格好のカモだったらしい。
今まで人を手のひらで踊らせていたつもりの自分が一番手のひらの上で踊らされていたとはとんだお笑い種だ。
「ドンサウザンド、お前が記憶を捻じ曲げなかったらベクターは優しい王子のままだったんだよ!」
現実は違う。俺は記憶を改変させられ、狂気の王に成り果てた。
「だが、この男のやった残虐非道な行い、それは消せん!」
そうだ、その通りだ。
「俺のやった過去の罪は消えない…」
だったら、どうすればいい?
そんな俺の心の問いに遊馬と小鳥が答えるように言った。
「ベクター、そんなのやり直せばいい!過去は変えられなくても未来は変えられる!」
「そうよ!過去は消せなくても未来は描ける!」
未来。そんなものがこんなにも汚れきった俺にあってはいけない。
「ありがとう。遊馬、小鳥。でも俺に未来なんかあっちゃいけない…君たちやナッシュを苦しめた俺に未来なんて…」
このまま未来を歩もうと過去に犯した罪は消せない。なのに俺がのうのうと、この先の未来を生きて良いわけがない。
記憶を書き換えられ、俺の人生はもうすでに狂ってしまっていた。
…書き換え。遊馬に敗れたときもカードを書き換えられた。とことん書き換えという言葉と相性が悪いなとそんなどうでもいいことを考える。
確かあの時はリミテッドバリアンズフォースをヌメロンフォースに….…。
ヌメロン。奇跡の力。
ヌメロンコード。あらゆる世界の運命を全て決める力を持つカード。
それだ。俺の中にひとつ名案が浮かんだ。
書き換えによって狂わされた人生。ならばいっそのこと書き換えによってぶっ潰れてしまえ。
ヌメロンコードで三世界の争いのない俺のいない世界を作ってしまおう。
そうすれば遊馬や小鳥、ナッシュ、俺がぶっ壊し台無しにしてきたその他の人が幸せになれるに違いない。
脳内にアストラルと遊馬がデュエルしているのを他のバリアン七皇や今までナンバーズに取り付かれていた。人が笑顔で見守っている。そんなビジョンが頭に浮かぶ。
もちろんそこに俺はいない、その世界はまるで何かのハッピーエンドのワンシーンのように美しく妙にしっくりときた。
お人よしの遊馬のことだからそんな世界を望んでいると知ったら全力でとめ、俺を生かそうとしてくるだろう。でもそれじゃあだめだ。
だから、ナッシュを倒し、遊馬を倒しドンサウザンドを封じ込め俺がヌメロンコードを手に入れて――。
そして世界を構築する。
俺の伏せカードにはエクシーズ・ディスチャージとトリックバスターがある。エクシーズディスチャージをナッシュが受け入れ俺に攻撃すればナッシュは倒せるはずだ。
また演じるしかない。そう考えた。
「トラップ発動、エクシーズディスチャージ!」
「ナッシュ、俺の中にいる神を俺の汚れきった魂ごと葬れ!」
遊馬がとめる。残念ながら遊馬にはまた苦痛を与えてしまうだろう。でも。
「これしかないんだ。これしか…」
俺が世界を構築するためにはまた遊馬を傷つけることになっても騙すしかない。
忌々しい神も俺を止めにくる。今まで吸収した仲間の力のおかげでそれを抑え込むことが容易にできた。これならドンサウザンドを封じることに成功しそうだ。
「さあ、やれナッシュ!」
「分かった」
ナッシュがラグナ・インフィニティを選び攻撃宣言をする。
妹の敵を討つという意味合いを含んでいるのかもしれないが――。
残念ながら敵は討てない。ごめんな、ナッシュ。
さあ、良かれと思ってよからぬことをはじめようじゃないか。
「トラップ発動!トリックバスター!」
「ヒャハハハ、引っかかった俺様の名演技によぉ!ばーか!まんまと引っかかりやがってどうしようもねぇ甘ちゃんだな!」
「俺はお前らの苦しむ姿がたまらなく楽しいんだよ!」
こんな俺を許そうとするだなんて本当に甘ちゃんだよな、遊馬、小鳥。
そんな優しすぎる2人が苦しむ姿はもう見たくない。
俺は目をそらし忌々しい神のほうに向き直る。
「ただなぁ、俺の記憶をいじってたてめぇにはムカついてんだよ」
ムカついてるなんてレベルじゃない。さらにその上、俺はドンサウザンドには歯向かえないはずなどと言いやがる。
思い上がりも甚だしい。さっき封じ込めることができたことで分かった。こいつはおそらく今の俺よりも力は下だ。俺は渾身の力でドンサウザンドを葬り去った。
これで後はナッシュを倒すだけだ。
「トリックバスターの効果はまだ終わっちゃいねえ!900ポイントのダメージを受けて消えろ!ナッシュ!」
これでおわりだ、ナッシュ。
そう思っていた。
「ドリームシャークの効果発動!」
まさかそんな馬鹿な。さっき捨てたカードにそんな効果があったとは、なによりも。
「てめぇ…俺を信じたんじゃなかったのか!ナッシュ!」
偶然だと思いたかった。たまたま捨てたカードがそんな効果だったんだとそう思いたかったのにその返答はあまりにもひどいものだった。
「信じる?そんな感情人間であったときの記憶とともに捨てさ」
・・・こいつは誰だ?こいつがサルガッソのときに「信じたいから信じる」といっていたあの神代凌牙なのか。
なぜここまでバリアンになるためだけに性格を変えてしまった?
何故か、そんなことは分かりきっていた。
俺だ、俺がここまでバリアンに対する印象を捻じ曲げてしまった。俺があんな姑息な真似を披露しなければ、バリアンになるということに対して抵抗はなかっただろう。
ドルベが遺跡で神代凌牙にあったときバリアンをやたら警戒していてすぐにバリアンじゃないかと疑われたと話していた。そして、私まで貴様と同じようなやつだと思われたとも話していた。
そのときは元はといえばドルベがドジなのが悪いんじゃねえかと話半分で聞いていたが実直で誠実なはずのドルベの振る舞いを見てもなお、バリアンだという理由でゲスだと考えるのは明らかに俺の所為だ。
「くそ…ナッシュ…許せねえ」
自分がした行いがナッシュを変えてしまったという事実が許せなかった。
だが、この戦いは勝たなければならない。
「俺の本当の力を見せてやる!」
一進一退の攻防が続いた。
俺の場には攻撃力500のカオスキマイラドラゴン。ナッシュの場にモンスターは0。
これが決まれば俺の勝ちだ。
「じゃあな、ナッシュ。楽しませてくれてありがとうよ」
全力でデュエルするのは楽しかった。
「お前って最高に楽しいおもちゃだったぜ」
今でも前世でも俺の予想を超えるデュエルをしてくれる対戦相手だった。
「だがもう目障りなだけだ!」
「俺もだよ、ベクター」
だろうな。ナッシュにとっては目障りなだけだっただろう。ナッシュだけじゃない他の人にも良いことなんてひとつもしたことがなかった。
そんな過去の自分に舌打ちをする。
「じゃあなナッシュ、今度こそ終りだ!」
「トラップ発動!デプスガードナー!」
防がれた。
だが、これ以上ドローはできない。大丈夫なはずだ。
そう思ったのに使用できないカードをコストに新たなカードを引いた。
そして前世での因縁のモンスターアビス・スプラシュが姿を現す。
こいつの効果で2回攻撃力を上げられたら終りだ。
だが1回しかナッシュは上げなかった。
もしかしたら攻撃による痛みを和らげようとしているのだろうか、だとしたら優しすぎる。
「甘ぇ、甘いんだよ、ナッシュ!オーバーレイ・バーグラリの効果発動!」
今度こそ俺の勝ちだ。
「終わるのは貴様だ!」
「何!?」
「速攻魔法RUM-クイックカオスを発動!」
「速攻魔法のランクアップマジックだと!?」
どうやら伏せカードを警戒した2段構えだったようだ。甘ちゃんなのはナッシュではなく俺のほうか。
激瀧瀑神アビス・スープラー。
相手モンスターの攻撃力を自身の攻撃力に加える効果を持つモンスター。
その効果でスープラーの攻撃力は8000。
「ベクター今こそ光なき闇へとその悪しき魂を抱えて落ちるが良い!アビス・スープラーでカオスキマイラドラゴンを攻撃!」
アビススープラーの鉄槌が容赦なくカオスキマイラドラゴンを貫きそのまま俺に襲い掛かる。
馬鹿な…俺が俺が負けるだと?
負ければ魂となって消える。それじゃあ俺の計画はどうすればいい。
衝撃が俺の体を浮かし床に叩きつける。脳に凄まじい衝撃がきて俺は意識を失った。